検疫委員の資格概要
検疫委員というのは都道府県知事に認定される職業で、薬剤師の資格が必要な職業のうちのひとつです。ここでいう検疫というのは空港などで見かける食品や商品に対してのものではなく、伝染病の検疫になります。
もしも伝染病が発生すれば、瞬く間に広まってしまって大変なことになってしまいます。それを防ぐために検疫をするわけです。言わば伝染病の門番としての役割を与えられることになりますね。伝染病が発生・流行の兆しを見せているときにのみ働くお仕事です。
検疫委員に必要な知識や技術
必要とされるのは現在発見されている伝染病に関しての知識とそれに関する薬やワクチンに関する知識です。薬剤師であれば当然知っているはずの基本的知識よりも先の発展した深い知識が必要となります。
また、伝染病というのはいつどこで発生し、流行するかわからないもの。いきなりやってきて日本中を荒らしていって急に去っていくような迷惑なものです。そんな突発的に発生する伝染病というものに対して早急に対応できるように常に情報収集はしていなければいけません。
情報収集能力と情報処理能力も必要となるわけです。
さらに急に対応しなければいけなくなっても対応できる人という条件もついてきますし、人格も大切な要因のひとつ。検疫委員としての仕事をするのが適切だと思われる人格である必要があります。そうでなくても、知事にそう思わせなければいけません。
どういう人格かといえば、たとえば「勉強熱心」「努力家」であったり「マメな性格」であるということは有利になるのではないでしょうか。検疫委員は常に勉強と情報収集が必要ですから、勉強熱心でマメな性格でなければ勤まりません。
検疫委員になるには
薬剤師の資格
検疫委員になるには、まず薬剤師の資格をとっていなければいけません。高校を卒業して薬学部に入り、6年間学校で勉強して薬剤師の試験を受け、合格する。その後薬剤師として仕事をし、検疫委員の認定を受けることによって検疫委員になることができます。
検疫委員は伝染病を対策する人員ですから、当然薬学の知識は必要不可欠。その知識があることを手っ取り早く証明するのが薬剤師の免許です。薬剤師免許を取り、なおかつ都道府県知事からの認定を受けなければいけないのでハードルは高いですね。
試験の有無
検疫委員になるためには都道府県知事の認定を受ける必要があると述べましたが、そこに試験があるのかどうかは気になるところでしょう。まず結論からいうと、試験というほどの試験はありません。筆記試験などが無いという意味です。
ではどうやって認定の判断をするのかというと、書類選考と面接。つまりは確固たる技術と知識の証明・人格とやる気の証明だけが、都道府県知事の認定を受けるのに必要だということですね。そういうと簡単そうですが、それが難しいのです。
まず薬剤師になってからすぐに認定を受けることはできません。薬剤師としてきっちりと仕事をこなし、その仕事が客観的に評価されるようになってはじめて認定を受けることができます。それでも認定を受けられるかどうかは「運」ということも絡んできます。
採用も定期的かつ公に行われているものではないので、インターネットなどを探してもほとんど情報がありません。採用情報どころかこの職業に関する情報も「ほとんど皆無」と言っても良いほどです。採用情報に関しても、伝染病と同じように常にアンテナを張って収集しなくてはいけません。
検疫委員の活躍の場
検疫委員の仕事は常にあるわけではありません。先述したとおり、伝染病というのはいつどこで発生し流行するかもわからない気まぐれ屋です。伝染病が発生しない限り検疫委員の仕事はありません。
じゃあどうするのかというと、普通に薬剤師として働きます。薬剤師として病院や薬局など働きたい場所で働いて、伝染病が発生し流行した場合にのみ検疫委員としての仕事があるわけです。将来性が無さそうに思うかもしれませんが、薬剤師の通常業務とプラスして仕事を行うということで、将来性はあります。
給料もその分上乗せで上がりますし、何より都道府県知事の認定があるので安心です。