日本褥瘡学会認定師の資格概要

日本褥瘡学会認定師というのは、その名前の通り一般社団法人日本褥瘡学会が実施・運用している認定制度です。薬剤師だけではなく看護師や医師も資格を取得することができ、現在600人程度の認定師制度取得者がいます。

高齢化社会がどんどん進んでいて、認知症の患者さんや病気の後遺症での寝たきり高齢者の問題が深刻化している昨今。医療や介護の現場で求められているのは、褥瘡の正しい知識や対応です。でもそれができる医療従事者はどれだけいるのか・・・そういう考えからこの学会と認定師制度が生まれました。

日本褥瘡学界認定師は、褥瘡についての専門家としての役割を働いている施設内で求められ、医師・薬剤師・看護師・介護職員・栄養士などの垣根を越えて褥瘡の問題について取り組んでいます。

日本褥瘡学会認定師に必要な知識や技術

必要な知識は、褥瘡・・・床ずれと言われている問題に対しての正しい知識と対応です。褥瘡というのは、寝たきりになってしまっている高齢者や患者さんの血流が悪くなってしまって尾てい骨などの皮膚が剥けてしまったり、赤くただれてしまうという症状。

悪化してしまうと組織が破壊されたりして皮膚の細胞が壊死するということも考えられるので、悪化を食い止めるべく正しく対応しなくてはいけません。そのためには知識だけではなく、実戦経験による対応力も求められます。

日本褥瘡学会認定師になるには

資格取得の条件

  • 医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士のいずれかであること
  • 上記の免許を取得してから4年以上経過していること
  • 認定申請書と審査料の提出
  • 免許証の写しの提出
  • 履歴書の提出
  • 医療歴証明書の提出
  • 症例記録の提出
  • 業績目録の提出
  • セミナー受講証明書の提出

医療記録というのは、薬剤師であれば「褥瘡を有している患者に対する褥瘡治療薬などの選定記録や薬効の評価記録・副作用の抽出記録・薬剤管理指導記録など」のことを指しています。10症例提出することができなければいけません。

審査料は、認定師認定審査料が10,000円。更新する場合にはまた10,000円払います。審査が終わって合格、晴れて認定師の認定を受けることができたということであれば、さらに登録料として10,000円追加で支払うことになります。

更新の場合も更新審査料と更新登録料で合計20,000円かかるということです。

試験とセミナーについて

試験は、筆記試験と面接(口答試験)のふたつに分かれていて、その両方に合格することができれば合格通知書が送付され、合格となるわけです。試験の難易度についてはそこまで高くはありません。それよりも、セミナーを受講したりする方が大変だと感じる人が多いようです。

セミナーは、日本褥瘡学会在宅医療委員会が各都道府県で行っている在宅褥瘡セミナーを受けることになります。在宅でセミナーを受けることができるだけまだ受けやすいかもしれませんね。薬剤師が取得できる認定資格のなかには所定の場所までセミナーのたびに赴かなくてはいけないものも多いです。

セミナーについては、2回以上受けなければいけません。ただし、同じ年度に複数回受講することはできません。年度をまたいで受講しなくてはいけないので、認定資格取得までには時間がかかりますね。平成26年度からは、6時間以上の在宅セミナーというものがあり、これを受講すると1回でも良いとされています。

まとまった時間がとれるなら、そのほうが手早く申請できるというわけです。セミナーを受ける段階で他の条件を満たしていないというのであれば、年度をまたいでセミナーを受講しつつ他の条件を満たすことができるように働くというのがベターでしょう。

日本褥瘡学会認定師の活躍の場

現在、まだまだこれから高齢化に向けて日本はどんどん突き進んでいくとされています。人口ピラミッドが逆三角形になることはないにしろ、40代から60代、70代の人口はどんどん増えていくわけです。そうなると、寝たきりの患者さんも増えることになります。

日本褥瘡学会認定師が今後、療養病棟・老人介護施設などの医療施設と福祉施設でますます必要にされてくるでしょう。将来性はバッチリ、むしろこれからだといえる資格というわけです。