漢方薬局での薬剤師の仕事内容

現在の医療の中心である西洋医学。そんな西洋医学では治すことのできないような病や症状などを治すのは東洋医学・・・つまりは漢方です。体の根元から症状を改善させる漢方は、古来より医療に使われてきました。そんな漢方を扱う漢方薬局で働く薬剤師の仕事内容とは、どのようなものなのでしょうか。

漢方薬局での薬剤師の仕事内容

漢方薬局ではたらく薬剤師の仕事内容は、大きくわけて「漢方相談」と「調剤」の2つです。

漢方相談とは、細やかなカウンセリング

漢方相談というのは、患者さんの体調や抱えている症状などをきくことです。最初に問診票を書いてもらって、その問診票にもとづいて患者さんに、「どこか悪いところはないですか」「眠れないと書いていますが・・・」といったように現在の体調について聞きます。

そういった相談業務というのは他の薬局でも行っていることが多いかと思いますが、漢方薬局の相談業務というのは少し変わっています。たとえば、「最近夢をよくみますか?」といった質問など、病院では気にすることがあまりないようなところまで細かく聞き出すのが漢方薬局の相談業務です。

漢方というのは体の根元に作用して、体の状態を根本から治癒力を高めることによって症状改善を狙うというものなので、睡眠ができているか、夢を見るか見ないか日々どんなことを感じているのかなど、生活習慣や精神の状況までを知ることが大切なのです。

そのため、この相談業務に1時間以上の時間を使うことも多くなっています。

調剤業務

漢方薬局では、生薬の調剤が中心になっています。もちろん、調剤薬局などでも出されることのある漢方エキス剤も扱ってはいますが、処方されるのは稀です。

相談内容のデータに基づいてどの薬を処方するのかを決定し、数ある生薬の中から選び、調合。そうして患者さんひとりひとりに合わせた漢方薬を作るというのが漢方薬局の調剤業務です。患者さんひとりひとりによって合わせる生薬や合わせる割合などが細かく違ってくるため、繊細な技術と豊富な知識が必要とされます。

通常の薬学知識だけではなく、漢方生薬に対して深い知識を有していることが必要で、生薬の調剤と販売に関しては漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を取っていなければ携わることができません。資格を取得していなくても、一応働くことはできます。

それほどまでに生薬の調剤は難しいというわけですね。

漢方薬局のやりがいとデメリット

薬剤師が漢方薬局で働くことにはたくさんのやりがいがありますが、その分デメリットもあります。

漢方薬局はやりがいに満ちている

薬剤師が漢方薬局で働く大きなメリットといえば、「漢方に対する専門性が磨かれる」ということですね。調剤業務と生薬の販売をするためには資格を取得しなければならず、その時点で知識は得られます。実際にはたらくと、さらに専門的な知識が身につき、技術も身につく。

たとえば、「とても繊細な調剤が可能になる」ということ「実際に調剤してみなければわからない生薬たちの相性を知ることができる」ということなどですね。合わせるものと割合によって、全然違う効果を発揮するのが漢方ですから、それだけ技術は高まります。

専門性が磨かれていけば、将来独立を考えることだってできるかもしれません。将来独立したいと考えている薬剤師にとっては、漢方薬局はもってこいというわけですね。最近は漢方に対する注目度も高まってきているので、需要も高いでしょう。

そういったことが、漢方薬局ではたらくやりがいでありメリットになります。

デメリット

漢方薬局は独立開業した個人経営のところが多いので、求人に関して結構閉鎖的なことが多いです。調剤薬局に比べると、圧倒的に数も少ないですし、採用の枠も少なくなっています。さらに、漢方薬局では「漢方について学びたい」という人が多いので、離職率も低くなっているのです。

また、漢方に特化している勉強会や研修がまだまだあまり多くはないので、スキルアップをはかるためには実際の業務を通して地道に独学で勉強を重ねていく必要があるというのもデメリットと言えます。

まとめ

漢方薬局の仕事は、とても専門性の高い仕事。もしも将来漢方薬局を独立開業したいという方は、デメリットをぐっと飲み込んで耐えしのび、努力をして力を伸ばすことの出来る職場ですが、それ以外の人にはあまり良い職場であるとは言えないでしょう。

仕事内容もかなり難しいのですが、漢方に興味のある方にとっては楽しい仕事だと思います。