薬事法における管理薬剤師の役割

必ず常駐しなければならない

薬事法には、薬事法第七条に薬局の管理という項目が設けられています。ここで管理薬剤師についての取り決めが書かれているのです。管理薬剤師は、基本的に薬局開設者がなるものだとしています。「薬局開設者が自らその薬局を実地に管理しなければならない」というのが薬事法で定められているのです。

ただし、薬局の従業者で管理者を指定して実地に管理させる場合は、薬局開設者が管理薬剤師にならなくても良いとしています。個人開業の薬局では、開設者が管理薬剤師になることが多いです。

薬事法における管理薬剤師というのは、実地で薬剤および従業員を管理する立場と定められています。

管理薬剤師の義務

管理薬剤師の義務は、管理することです。具体的に、どのように管理しなければならないのかが薬事法で定められています。薬事法の言葉を借りて見てみましょう。

「薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない。」

これはつまり、薬局を清潔にしておくように自分でも注意を払いながら従業員に指導をし、衛生上問題のある業務をしていないか見守る義務があるということです。もうひとつ、管理者の義務として定められていることがあります。

「薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなければならない。」

これは簡単ですね。もしもその薬局が衛生上問題のある場所であった場合、薬局開設者に対して「こうしたほうがいい」と進言をしなければならないということです。管理薬剤師とは、その薬局内においてとても重要な立ち居地であることがわかります。

管理薬剤師は、この薬事法を遵守して仕事をしなければならないということを頭に入れておきましょう。

管理薬剤師の禁止事項

兼業禁止

管理薬剤師は兼業可能かどうかという疑問を持っている人も少なくはないでしょう。管理薬剤師は、基本的に兼業を禁止されています。薬事法では「実地で管理をする」としていましたが、管理薬剤師というのは必ずその現地に常駐していなければならないとしているのです。

「薬局管理者は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であつてはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りではない。」

薬事法第七条の言葉を引用しましたが、つまりは、管理薬剤師は都道府県知事の許可を受けた場合でない限り兼業ができないということです。収入を増やそうと安易に兼業をした場合には、薬事法違反となります。

バレなければ犯罪じゃないという言葉がありますが、悪質な場合は処罰を受けることになるので、くれぐれも都道府県知事の許可無く兼業をすることのないようにしましょう。

副業禁止

管理薬剤師は兼業が禁止されていると述べました。では、本業の休みの日・仕事が終わったあとに副業をすることは可能なのかという疑問が浮かぶかと思います。結論から述べると、薬事以外のバイトやパートなどの副業をすることは可能です。

薬事法では、「他の薬事に関する業務に従事してはいけない」としているわけですから、薬剤師としてのバイト・パートでない限りは勤務時間外の副業は可能となっています。もちろん、その職場での就業規則に反していなければの話ですが。

兼業の例外

「都道府県知事の許可」というのが、兼業の話をしている際に出てきましたが、兼業禁止には例外があるのです。都道府県知事の許可を受けた場合においては、兼業をすることができます。と言っても、都道府県知事の許可を受けた場合はどのような場合かというのがわからない人もいらっしゃるでしょう。

例えば、非常勤の学校薬剤師・急患センターで働く場合などは都道府県知事の許可を受けることが可能です。もちろん、自分から許可を受けにいかなければならないのですが、基本的に許可されます。そういった場合が、例外です。