管理薬剤師の仕事内容

調剤薬局に務めている方、特に薬剤師になって間もない方であれば、目下の目標は管理薬剤師になることである場合が多いものです。

しかし、管理薬剤師といっても、普段はどんな仕事をしているんでしょう。調剤業務は当たり前にこなしているでしょうが、そのほかどんなことをしているのか、管理薬剤師を経験しなければわからないこともあるでしょう。管理薬剤師がどういった業務をしているのか、まとめてみました。

医薬品の在庫管理

他の薬剤師に委託している場合も多々ありますが、一般的には店舗の在庫管理は管理薬剤師が担っています。管理方法は千差万別で、一か月の使用量を月初めにまとめて入庫しその後は調節するだけのスタイルや、日ごとに使用量を見て定数まで補充するために発注するスタイルなど、店舗の集客率や在庫を保管するスペースに応じて決められています。その店舗にあったスタイルを構築することが管理薬剤師に求められています。

店舗に保管しておかなければいけない書類の管理

調剤薬局には必ず保管しておかなければいけない書類があります。業務手順書や薬局管理帳簿などのこういった書類は調剤薬局には必須のもので、保健所の立ち入り監査の時にも用意されていることを確認されます。

法的に規制のある医薬品の管理帳簿も不備がある場合には監査時に指摘されますので、健全な調剤薬局の運営には避けて通れないものです。こういったものの管理を、その店舗の管理薬剤師は行っています。定期的な見直し・更新が必要なものですので、最初に作っておしまいというわけにはいきません。

医薬品情報の管理

調剤薬局では常に医薬品情報を最新に更新していく必要があります。日々新たに発表される医薬品や新たな副作用の発現情報など、休むことなく進んでいく医薬品情報の取捨選択をし、スタッフに適切に伝えることも管理薬剤師の仕事です。

もちろんスタッフも薬剤師であるのですから、個人的に情報を集める手段は持っています。ですが、その方法にはそれぞれ違いがありますので、その情報を一定水準に保ち、差がでないように管理薬剤師が情報を管理していくのです。ちなみに、医薬品情報の更新・保管は基準調剤加算の施設基準としても求められています。

掲示物の管理

調剤薬局の壁には、たくさんの掲示物が張られています。この掲示物はただ貼っているわけではなく、調剤薬局を運営していく上での義務があって掲示しています。個人情報管理指針や算定している調剤報酬の説明など、こういったものの管理も管理薬剤師の仕事です。

調剤薬局は国との契約により報酬をもらっていますので、こういったことをないがしろにはできません。この掲示物に関しても定期的な見直しが必要なものがあり、保健所や都道府県への申請により掲示内容が変更される場合にも、遅延なく変更を求められています。

対外対応

薬局には様々な人が訪れます。それは患者だけでなく医薬品卸業者や医薬品メーカーも含まれます。最新の情報をもらったり、患者への指導を円滑にするためのアイテムを用意してもらったり、調剤薬局の仕事はこういった方々のサポートがなくしては維持できません。管理薬剤師は普段から対応をしていくことで関係を築いていくのです。

病院側との関係も忘れてはいけません。医師はもちろん、コメディカルも含めて協力できる体制を築くことを目標に対応していくのです。特に注意している治療はあるのか、どういった治療を目指しているのか、処方箋からは得られない情報を病院とのつながりの中で入手していきます。

調剤薬局は病院からの処方箋がなければ仕事になりませんし、卸業者から医薬品が適正に入庫できなければもちろん仕事になりません。日々円滑に業務ができるように管理薬剤師は対外対応しているのです。

さらに管理薬剤師が薬局開設者でない場合には、薬局開設者と店舗スタッフとの橋渡し役にならなければいけません。通常の企業でいうところの中間管理職に当たるわけですね。上からも下からも挟まれる立場ですので、ある程度器用に動けなければ重圧が強く、心身ともに負担になります。

まとめ

管理薬剤師の職場での役割は、そこで働いている人全員が気持ちよく仕事ができるように、患者さんが気持ちよく利用できるようにすること。薬の状態が安全か、いつでも薬を提供できる状態かを管理する「薬の番人」のような役割を担っています。

社外からの医薬品に関する相談・クレームなどに対応するのも管理薬剤師の仕事。言えば、管理薬剤師というのは、その薬局や会社内での「薬の窓口」とも言うことができるかもしれません。

さて、ここまで管理薬剤師が普段どういった仕事をしているかを見てきましたが、意外と少ないようにも感じます。しかし、この他には普通の薬剤師と同じく調剤業務を行っているのですから、仕事量は通常の薬剤師よりも多いと言わざるを得ません。

管理薬剤師は大変ですが、それだけにやりがいのある仕事ですね。薬剤師ならだれでも管理薬剤師になることができますが、業務をきちんとできるかは別問題。これから管理薬剤師になる方には、ぜひとも立派な管理薬剤師になってもらいたいものです。