病院や製薬会社などの規模の大きな企業では、人間関係が複雑となってしまい大変な思いをすることがあります。自分の部署だけでなく他部署との関係性も気にしなければいけませんし、表面化していなくても企業内に派閥が存在していたりと、単純な仕事以外にも気を割かなければいけないことが多々あります。

それでは、小さな世界である調剤薬局でならそういったことがないかといえば、残念ながら小さいながらの小さなコミュニティが存在しており、そのコミュニティの暗黙のルールが存在しているのです。

調剤薬局の管理薬剤師は、そういったものを含めたうえで自らの店舗を統括しなければいけません。頭ごなしに叱りつけても人は納得して従いませんし、ただ優しくしていても波風は立たないでしょうが店舗の管理ができているとは言えないでしょう。店舗スタッフの心を掴み、自分の理想とする店舗に近づけていくための人間管理のコツをお伝えしていきます。

人をやる気にさせる技術

人間は皆、承認欲求を持っています。その承認欲求を満たしてあげることによって人はやる気を出して動くことができるのです。承認欲求といえば難しく感じますが、結局は誰しもが褒められたいという気持ちを持っていることです。

単純に普段の仕事を褒めてあげるだけでいいのです。それだけで人は自分が認められているという充実感を得て、今まで以上のパフォーマンスを発揮できます。

人間ですから得手不得手はありますが、まずは良いところを褒めてあげるというのが、最大のコツです。さてそれでは、ここで褒めて伸ばしていくためのポイントを紹介していきましょう。

直接褒める前に遠隔で褒める

人間は直接自分の評価を聞くよりも、他人から自分の評価を聞いた方が信用しやすい傾向があります。つまり、直接本人を褒めるのではなく、褒めたいスタッフが不在の時にそのスタッフの周囲の人達に対して褒めておけばいいのです。第三者から自分を褒めていたと聞けば、信ぴょう性が増し、一層の効果を発揮します。

しかしながら、この行動には即効性はありません。一回二回伝えただけでは本人に伝わらず、効果を実感するのは先の話になるでしょう。ですが、実を結んだ時には絶大な信頼を得ることができます。

先に周囲に良い評価を伝えてから、スタッフ本人にもその評価を伝えて褒める。そのスタッフにも悪い部分はあるでしょうが、まずは良いところを褒めておけば、悪い部分を指摘したとしても悪印象を与えづらくなります。

感謝の意を常に伝える

日頃一緒に仕事をしていれば、小さなことでも手伝いや気遣いをしてもらうことがあるでしょうし、思ってもみない程良い仕事をしてもらえて、助かることもあるでしょう。そういった時に素直にその感謝を伝えるだけで信頼関係の構築に繋がります。

ただ感謝の言葉を伝えるだけでも効果的ですが、ここで新たな褒める技術を使用しますとその効果がさらに強く発揮できますのでお試しください。

スタッフがしてくれる仕事は、そのスタッフによって大きく違っているかと思います。この各スタッフによって仕事に差が出てくるのは、そのスタッフの技術面や精神面に起因しています。

その仕事に関して、褒め方に緩急をつけるのです。「こういう仕事をしてくれるからすごく助かるよ」と、どこを褒めているのか明確にすることにより、その行動に方向性を持たせていきます。そうすることにより必要な仕事を優先して行うようになり、結果として不要な仕事を減らすことができます。悪い部分を指摘するよりも前に、まずは良いところを認めてあげましょう。

おわりに

人間が集まって生活しているのですから、必ずどこかに軋轢は生まれます。その軋轢をいかに減らし、状況を円滑に進めるかは管理薬剤師の手腕によります。

ただ勤務している薬剤師であったならば、店舗内の人間関係がどうなっていようが、気にすることはありませんでした。ですが、管理薬剤師となればそうはいきません。調剤薬局として必要な書類や文献をそろえ、医薬品情報を更新して周知し、スタッフが気持ちよく仕事ができる環境を整備しなければならないのです。

今回はその中でも人のやる気を引き出し、率先して仕事をさせるスキルを特集しました。すべてのスタッフが気持ちよく仕事をしていくために、人間管理のコツを使用して円滑な人間関係を構築してください。