私は新卒で全国チェーンの大手調剤薬局に勤務していました。それから転職をしていますが、最初に働いたその職場で経験したことをお伝えします。全ての全国チェーンに当てはまる話ではありませんが、大手の調剤薬局で働きたい方の参考になれば幸いです。

勤務時間

門前の調剤薬局は内科で、近隣の眼科や皮膚科、婦人科等からわずかに処方箋は来ていました。勤務体制は薬剤師4人、事務1人。開局時間は8:30~18:30でしたが、薬剤師は分担しており①8:30~17:30、②9:00~18:00、③9:30~18:30の3つに分かれていました。

新人当時は①での勤務が多かったのですが、定時になっても先輩方は仕事をしているので、なかなか帰るタイミングが見つからず結局閉店の18:30過ぎまで残り、先輩方はそれから薬歴を入力するので19:00を過ぎることが多くありました。もちろん残業代はありません。先輩が「帰っていいよ」と声をかけてくれる場合は帰れるのですが、忙しくてそれを忘れられることがほとんどです。  

全国チェーンだからの特徴

在庫の担当棚も振り分けられ、毎日の発注業務も行っていました。毎月末には在庫を絞るように本社から通達があり、ほとんど薬が薬局にない状態まで絞り、来月来局予定の患者さんが飛び込みで来た際には不足してあとから自宅まで届けていました。全国的に店舗数が多かったので、頻繁に出る薬が他県の薬局に余っている場合は送ってもらう等して、全国の店舗で在庫を回している点では無駄がないように感じましたが、郵送料はとてつもない額を要していたと思います。

経営の面では節約志向が良いと思いますが、行き過ぎた節約もありました。夏場で熱いときに電気代がかかるからと窓を開けるだけで対処し、患者さんを始め薬剤師の私たちまで気分が悪くなることもありました。

管理薬剤師の考えでなかなかクーラーを入れてもらえなかったときは、気分が悪くて病院、薬局を利用する患者さんを余計気分悪くしてどうするのだろうか?と医療人として呆れました。

働く薬剤師の評価のされ方

すべての薬局に監視カメラがついており、常に本社に監視されています。患者数や薬局の様子を見るためと言われていましたが、結局本当の目的は不明です。(調剤薬局内の監視カメラ)

また、薬歴も本社から無作為に選出され評価をされていました。その評価がボーナスの査定にも影響しているようです。ボーナスや昇給も配属店舗によって差があり、薬局の売上が高い店舗は、同期でも売り上げの低い店舗の2倍以上の昇給率の時もあります。それは配属次第なので非常に不公平感を感じていました。

もともと個人薬局に比べると全国チェーンの薬局は年収が低く、パートに関して時給も非常に安いです。近くの調剤薬局のパートの時給と比較すると差が800~1200円もあります。この差はとても大きいです。福利厚生がしっかりしているとうたっていますが、実際のところ福利厚生を無駄なく利用するのは不可能に近いです。

現場の薬剤師は安く働かされて、課長、係長、部長等の現場では仕事をしていない人たちは高額の手当をもらっていて、役職のある人が無駄に多く人件費が余計かかっていると常に現場では話していました。

調剤薬局は女の世界?

調剤薬局は女性が多く、男性は1店舗に1人もしくは0人のパターンが多いです。実際私の勤務した薬局は女性だけの店舗が多く、初めは女の世界だろうと恐々と入りましたが意外と女性だけで楽しく仕事ができました。

管理薬剤師が男性の薬局は、子持ち主婦の人にとって理解を得るのが難しく働きにくいと聞きますが、管理薬剤師が女性の場合も、既婚・独身、子供がいるか等でやはり理解の度合いが変わりました。色々経験してきた方が管理薬剤師として頑張っている職場は、他の社員も働きやすいです。

ちなみに出勤時はスーツ、女性はスカートのスーツにベージュのストッキングで仕事を行います。パンツスーツで出勤した際には、白いズボンタイプの白衣の着用が義務付けられており、とても働きにくい印象です。男性はスーツのズボンのまま白衣を着て仕事しているので、女性だけ差別だと感じました。

おわりに

調剤薬局の中にも厳しくて働きにくいけれど、監査が入った時には特に修正することなくスムーズにいくところと、働きやすいけどすべてにおいて適当すぎて、監査が入った時に1からすべてやり直しが必要になるところがあります。

前者から後者へ転職した場合、適当具合が非常にストレスに感じて、その薬局に不信感さえ抱きます。結局は初めに勤務した職場が自分の中での基準になるので、最初はしっかりとした大手の調剤薬局に勤務してよかったと何度か転職をした私は実感しています。