総合病院の門前薬局での職場について紹介いたします。私は週3~4回、9時~15時のパートタイマーで働いています。薬局のメンバーは薬剤師正社員2名とパート1名、事務2名で、時給2000円で働いています。
長く病院で勤務しており、薬局経験が初めてでしたので、まず保険と調剤点数について勉強しました。保険については高額医療や肝炎の助成など、ニュースで言葉は聞いてはいるものの実際の支払額や手続きについては知らないことが多かったです。
調剤点数については患者さんから尋ねられることが多かったです。実際、「同じ薬なのに、前回と値段が違う」と言われ確認してみると、確かに前回と同じ2つの薬が処方されていたのですが、1つの薬の用法が前回と変わっていたため点数が高くなってしまっていました。
保険のことや調剤点数については恐らく国試で勉強した内容だったと思うのですが、ほぼ忘れてしまっていました。オープンしたばかりの薬局で当初は患者も少なかったため、1ヶ月ほど前日の処方箋と調剤録を見ながら、勉強していました。
門前薬局の業務内容
薬局の業務は調剤、監査、投薬、発注業務に大きく分かれます。
薬の在庫管理の厳しさ
私の薬局は総合病院の門前薬局ですので、常時1000種程度の薬の在庫があります。処方内容は小児科の粉薬、10種類くらいの一包処方、自己注射、抗がん剤、麻薬、新薬とありとあらゆる種類の処方箋が来ます。一人の患者さんの調剤に30分以上かかってしまうこともあります。
病院と違って、薬の在庫管理が厳しく1錠、1gも無駄にせず、計量間違えも調剤ロスとして記録しなければなりません。プレドニゾロンなど小さい薬を半錠にする時は神経を使います。あまりにミスによる調剤ロスが多いと本部への始末書を書かなければならないこともあります。
一方で、同じ薬であっても、患者のニーズに合わせ先発品と後発品をどちらとも在庫するなどして、デッドストックが多いです。ただ、チェーン店ですので期限が近くなったら他店舗に譲ることもできます。
監査と投薬の仕事について
監査では調剤した薬の監査だけではなく、保険点数が間違えていないか、事務さんの入力間違えがないかも確認します。従って、監査は経験のある薬剤師が行うことが多くなります。
投薬担当の薬剤師は調剤・監査している間に薬歴を確認します。薬歴は電子薬歴で管理されているため、前回の処方歴だけでなく、薬が変更になった場合や増量になった場合もパソコン上に表示されるので、とても分かりやすいです。
さらに薬の添付文書や安全性情報もすぐ確認できるため、患者さんから聞かれたことをその場で確認することができます。発注や薬の在庫管理も電子薬歴と同じソフトで行っています。発注点を設定していれば、発注する薬品がリストアップされるので確定ボタンを押すだけで発注できます。納品されたら卸からウェブ入庫されるため、こちらがパソコンで入力することはありません。
門前薬局で働いて困ったこと
門前薬局で困ったことは、患者さんを通してでしか病態が分からないことです。まず、基本的な病名が分かりません。初めて来局した患者さんには問診票を書いてもらうのですが、重病である方も多く、あまり病名を言いたがらない方が多いです。
さらに、現在治療のどのステージにいるのか、今後どういった治療を受けていくのかが分かりません。しかし、まず病名を確認しなければ、大事な薬であったり、誤った薬の説明をしてはいけないので、患者さんの気持ちを汲み取りつつ病名を確認します。
薬が増量になったり、中止になったときは患者の病態を確認するチャンスなので、しつこくない程度にその理由を聞きます。そして、薬を手渡すときには、理解度を推し量りながら一つ一つ薬を見せながら投薬します。いつも処方薬を見ながらの手さぐりの服薬指導ですが、患者さんから情報を聞き出して服薬指導につなげるのは薬局薬剤師の重要なスキルだと思います。
私の職場の人間関係
私の薬局は女性ばかりの職場で、管理薬剤師は温厚で責任感があり薬局の人間関係は良好です。子供の発熱などで急に休まなければならない時も、チェーン店で他店舗の応援があるため気負わずにお休みをいただけます。
薬局は狭い職場なので、人間関係がとても大事だと思います。トップの人、つまり経営者や管理薬剤師の人柄がそのまま薬局のカラーになっているような気がします。
その他メリットとデメリット
お給料や待遇は病院と比べてとても良いです。患者さんとの距離も近いことも利点です。
ただ、なかなかキャリアアップできる機会は少ないです。患者対応に追われ、勉強する時間もあまり無いことも理由の一つと思いますが、小さな薬局内では学んだことをディスカッションすることもなく、自己満足に終わってしまうことも多々あります。